工事担任者 資格取得のメリット(何に役立つのか?)

2018年8月8日

工事担任者資格制度 よくある質問

目次

工事担任者はなぜ必要なのですか。

電気通信事業者の設置する電気通信回線設備(以下「事業用ネットワーク」という。)に利用者が使用する端末設備又は自営電気通信設備(以下「端末設備等」という。)を接続するとき、事業用ネットワークの損傷やその機能に障害を与えないこと、他の利用者に迷惑を及ばさないことを確保する必要があり、端末設備等の技術基準が定められています(電気通信事業法第 52 条)。しかしながら、端末設備等自体が技術基準を満足していても、接続の方法を誤ったり、不備な配線を行った場合は、結果として技術基準を満たさないことになってしまいます。このため、端末設備等を電気通信事業者が提供する事業用ネットワークに接続する場合は、接続する端末設備等が技術基準に適合するように工事を行い、また、ネットワークと端末設備等が相互に十分機能するように調整することが求められることから、利用者には、専門的な知識と技能を有する工事担任者に接続の工事を行わせ、又は実地に監督させることが義務づけられています(電気通信事業法第 71 条第1項)。

「端末設備等」とは何ですか。

「端末設備等」とは「端末設備又は自営電気通信設備」です。このうち「端末設備」とは、事業用ネットワークに接続される利用者の電気通信設備であって設置場所が同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内であるものをいいます(電気通信事業法第 52 条)。端末設備は、事業用ネットワークに直接接続される端末機器だけでなく、利用者が使用する端末設備を構成する配線設備や端末機器全体を指します。また、電気通信事業者以外の者が設置する電気通信設備であって端末設備以外のものを「自営電気通信設備」といい(電気通信事業法第 70 条)、これを事業用ネットワークの一端に接続する場合、端末設備に適用される技術基準が準用されます。

工事担任者の職務はどのようなものですか。

工事担任者は、端末設備等を事業用ネットワークへ接続する工事のほか、これに伴う調整及び通信線を配線する工事など端末設備等の接続により通信が可能となる一切の工事に対して責任を負うことになります。その職務は主に「工事の実施又は実地の監督」、「端末設備の機能確認試験等」、「端末設備等を事業用ネットワークに接続するときの責任分界点における技術基準適合性の確認」の3つです。また、工事担任者は、事業用ネットワークに端末設備等の接続が良好に行われるよう担保する責任を負うことになるため、接続工事の実施又は実地の監督等の職務を誠実に行う義務があります(電気通信事業法第 71 条第2項)。

工事担任者が「実地に監督する」とは、どのようなことですか。

端末設備等の接続に係る工事において、直接工事を行わなくとも、当該工事に従事する者を現地で指揮又は指示することによって、当該工事に関する一切の責任を負うことをいいます。

工事担任者資格が必要な工事とは、どのようなものですか。

利用者が電気通信サービスを利用するための端末設備等の接続に係る工事であり、具体的には、事業用ネットワークへの接続及びこれに伴う調整並びに屋内配線工事など端末設備等の接続により通信が可能となる一切の工事です。この工事には、事業用ネットワークに接続する端末設備等の機能確認試験や責任分界点において当該設備等が技術基準に適合することを確認する作業が含まれます。

工事担任者を必要としない場合とは、どのようなものですか。

技術基準に適合した端末機器をプラグジャック方式等※で接続する場合であれば、電気通信に関する知識を必要とせず、一般の利用者が行っても事業用ネットワークに損傷等が発生せず他の利用者に悪影響が及ばないことから、工事担任者による工事は必要ありません。これは、プラグジャック方式等であれば、接続部の不具合は起こりにくく、容易に間違いなく端末機器を接続することができるためです。
なお、責任分界点からプラグジャック方式の接続口まで配線を行う場合や接続口を移設する場合のほか、事業用ネットワークの機能に障害を与えたり、他の利用者に迷惑を及ぼすなど技術基準の適合性への影響が不明確なオフィスビル内に設ける規模の大きい端末設備や自営電気通信設備を接続する場合等には工事担任者が必要となります。
※ 工事担任者を要しない端末機器の接続の方式(郵政省告示第 224 号)一 プラグジャック方式により接続する接続の方式二 アダプタ式ジャック方式により接続する接続の方式三 音響結合方式により接続する接続の方式四 電波により接続する接続の方式

「技術基準に適合した端末機器」とは、どのようなものですか。

利用者が端末機器を事業用ネットワークに接続して使用するとき、その端末機器が電気通信事業法で定める技術基準に適合しているものとして表示(いわゆる技適マーク)が付されたものであれば、電気通信事業者の検査を受ける必要はありません(電気通信事業法第 69 条)。
技術基準に適合する端末機器であることを審査する機関には、登録認定機関(電気通信事業法第 86 条)や相互承認協定に基づく登録外国適合性評価機関があります。

戸建て住宅やオフィスビルに端末設備を設置して事業用ネットワークに接続する場合には、一般的にどのような工事に工事担任者が必要となりますか。

戸建て住宅の場合、責任分界点(保安器)から屋内の指定箇所まで配線し、プラグジャック方式の接続口を設けて接続する端末機器の設置や調整する工事について、工事担任者による実施又は実地に監督が必要になります。
一方、オフィスビルの場合、一般的に戸建てに比べて端末設備を構成する配線や端末機器が多岐にわたるため大規模な工事になりますが、工事担任者が必要となる工事の対象は、責任分界点から屋内に設ける接続口までの配線や機器の調整等の一切の工事となります。

オフィスビルやマンションに端末設備を設置して事業用ネットワークに接続するところまでの工事は行わず、通信線を配線する工事のみを先行して行う場合、工事担任者は必要ですか。

事業用ネットワークに接続することなく通信線の先行配線のみを行う場合は、その時点で工事担任者による工事又は実地の監督が必要とは言えませんが、その通信線に端末機器をつなげて端末設備を事業用ネットワークに接続する場合においては、工事担任者が端末設備の接続及びこれに伴う一切の工事の責任を負うこととなります。そのため、先行して行う配線工事であっても、工事担任者が実施又は実地に監督することが望ましいものと考えます。
なお、工事担任者不在で先行配線工事を行う場合には、後ほど関わる工事担任者の責任を担保しうるよう適正に工事を実施すること及びその結果を確認できるようにしておくことが必要と考えます。

既に通信線がある戸建て住宅やオフィスビルで端末機器を接続する場合、工事担任者は必要ですか。

利用者は、既設の通信線等を通じて電気通信サービスを利用するためにサービスの申し込みを行った後、端末設備の接続に係る設置や調整を工事担任者に行ってもらう必要があります。ただし、プラグジャック方式の接続口が設けられていて、これに適合表示端末機器を接続する場合には、電気通信に関する知識を必要とせず、一般の利用者が行っても事業用ネットワークに損傷等が発生せず他の利用者に悪影響が及ばないことから、工事担任者は必要ありません。

通信線やプラグジャック方式の接続口が設置されてない戸建て住宅やオフィスビルで端末設備を接続する場合、工事担任者は必要ですか。

利用者は、電気通信事業者に電気通信サービスの利用を申し込みした後、責任分界点から端末機器を設置する場所まで配線し、プラグジャック方式の接続口を設け、端末機器の設置や調整、その接続に係る工事を工事担任者に施工又は実地に監督してもらう必要があります。なお、この一連の工事の後、利用者がプラグジャック方式の接続口に適合表示端末機器を接続する場合には、工事担任者は必要ありません。

既に電気通信サービスを利用している中で、利用者が端末設備等の動作設定を変更する場合や新たに端末機器を追加する場合、通信線の配線変更やその延長を行う場合などにおいて、工事担任者は必要ですか。

運用中の端末設備等の動作設定を変更する場合、当該端末設備等の通常の動作と認められる範囲の変更であれば、その作業を工事担任者に行ってもらう必要はありません。例えば、技術基準の適合性に影響しない設定変更を行う場合などです。また、技術基準に適合したルータ等の下位にサーバやPC等の端末機器を増設する場合や当該ルータの下位に設置されている端末機器を交換する場合についても、工事担任者は不要です。一方、運用中の端末設備等の配線を変更する場合、その変更が責任分界点における技術基準の適合性に影響を及ぼす恐れがあれば、工事担任者が必要になります。オフィス内に設けられたHUBに延長用のL
ANケーブルをつなげてPCの設置場所を変えるなどの場合には工事担任者は不要です。

自宅等で運用中の技術基準に適合したルータ等の下位にPC等を増設する場合、一般的には規格に適合した既製品のケーブルが用いられますが、このケーブルを任意の長さに加工して端末機器を接続しようとするときには、工事担任者が必要ですか。

加工したケーブルの接続コネクタが外見上プラグジャック方式であったとしても、加工時の不手際等によってコネクタの結線が適切でなく、極性の取り違えや接触不良など規格を満足しないものになってしまう可能性があります。その不具合による影響を考慮すると、ケーブルの加工は、工事担任者に行ってもらう又は加工の結果を確認してもらうことが望ましいものと考えます。

運用中の端末設備等に通信障害が発生した場合、その復旧作業に工事担任者は必要ですか。

通信障害の態様により工事担任者の要否は異なります。端末設備等を構成する配線設備が通信障害の原因である場合には、配線の再施工等が行われることとなりますので、配線設備を変更した端末設備等を責任分界点で再接続するとき、技術基準に適合するものであることを確保するために工事担任者が必要となります。
通信障害の原因がサーバのシステムエラー等であれば、その再立ち上げや同等性能品との入れ替えなどの作業に工事担任者は不要です。

平成 17 年8月1日に工事担任者資格の種類が改正されていますが、制度改正前の旧資格で、接続の工事を行うことができますか。

旧資格の範囲内の工事を行うことができます。

1Gbps 級のインターネット接続サービスが多くなりましたが、このようなサービスを利用するための接続の工事は、DD第一種でないとできないのでしょうか。

工事担任者資格制度が平成 25 年2月1日に改正され、DD第二種とDD第三種でも1Gbps 以下のインターネットサービスへの接続工事が行えるようになりました。

工事担任者は、資格者証を携帯しなければならないのですか。

端末機器の接続の工事を依頼する利用者が、工事担任者資格者証の提示を求めることがありますので、工事を行う際は、資格者証の携帯を推奨します。

工事担任者規則第 38 条第2項に「工事担任者は知識及び技術の向上を図るよう努めなければならない」という規定がありますが、この趣旨は何ですか。

工事担任者資格は更新義務や失効の無い終身資格ですが、電気通信分野における技術の急速な発展に対応するため、すべての工事担任者は、常に新しい知識・技術の修得・維持向上を資格者自らの自己研鑽(書籍等による自習、民間における研修等)により図っていく必要がありますので、努力義務として規定されています。

※工事担任者資格の取得に係る試験等につきましては、指定試験機関である(一財)日本データ通信協会電気通信国家試験センター(http://www.shiken.dekyo.or.jp/)にお問合せください。